インデックスファンドでの資産運用は,つみたてNISAやiDeCoなどの制度の後押しもあってとても簡単に始められます。
まだ始めていない方はまずこちらの記事からお読み頂くのがよいかもしれません。
インデックス投資の積立購入で資産を作る理由は様々でしょう。
老後資産,子供の教育資金,セミリタイア,あるいは将来への安心のためなどなど。
ですが,とりあえず積立購入を始めたのはいいとして,これをいつどうやって売って現金にすればよいか分からない方も多いのではと思います。
せっかく大きく成長した資産なので,現金を受け取る方法やタイミングを間違えたくないですよね。
そんなインデックス投資家のあなたと,それぞれの投資の目的に合った売り方やタイミング,いわゆる出口戦略を考えたいと思います。
あなたの投資目的以外の戦略も目を通していただければ,「こんなやり方もあるのか」という気づきにつながるのではと思います。参考になれば幸いです。
この記事はこんな人向けです:
- インデックス投資を始めたのはいいけれどいつ売ったらいいのかわからない人
- 自分の投資の目的に合った売り方を知りたい人
- 株価が乱高下しているので売りたくなってしまっている人
「出口戦略」って響きがかっこいいので日常で使いたいですよね
インデックス投資はいつどうやって売ればいい?【目的別に出口戦略を考えよう】
インデックスファンドを積み立てる目的は様々かと思います。
ここでは以下の目的別に,いつ・どうやって売るのがよいのか考えたいと思います。
- 老後資産のため
- 教育資金のため(マイホームの資金も含む)
- セミリタイアのため
- 将来の不安のため
老後資産のための出口戦略
老後資産とは,定年退職後に退職金や年金だけで生活が苦しくならないように今から準備しておく資産のことですね。
取り崩して現金化していくタイミングは当然定年退職後なので,ここでは65歳以上としましょうか。
かといって65歳の段階で一気にすべてを売却して現金化するのはおすすめしません。
そのタイミングで暴落が来ているかもしれませんし,売った直後に急騰するかもしれません。
というわけで基本的な考え方は,増やした資産を少しずつ取り崩していくことになります。
これまでの積立と同じ考え方で分散させるということですね!
ではどのように取り崩すのか。
定額売却と定率売却の2種類があります。
定額売却
定額売却は毎月5万円など決められた額のお金を得るための売却方法です。
年金(収入)と生活費(支出)のバランスを考慮して毎月のお金を補填すればよいので非常にわかりやすく,カンタンですね。
ただ定額売却の欠点は,長生きすると枯渇してしまうかもしれないことです。
例えば3000万円の資産があったとしたら,月に10万円ずつ取り崩したら年間120万円を消費するので,25年で使い切ってしまいます。
取り崩している間も運用は継続するので増えることは期待できますが,それもポートフォリオ次第ですし一生を保証する手法ではありません。
長生きすればするほど生活が苦しくなるリスクが高まるので「長生きリスク」と言われたりします。嫌な言葉ですね。
定率売却
定率売却は,手持ちの資産額の4%などのように毎月一定の割合で取り崩していくことです。
割合を固定するので,毎月の受け取り額は月によって異なります。
資産額は月によってはプラスになったりマイナスになったりするので,タイミングによっては取り崩し額が少なくて生活が厳しい時期もあるかもしれません。
一方で,ポートフォリオ全体が期待する利回りを下回る割合で平均的に取り崩すことになるので,理論的には資産が枯渇することはありません。
90歳でも100歳でも長生きしたとしても資産がなくならないというのは,これからの長寿社会においては大きいですね。
運用が上手くいって大きくプラスになれば,資産を取り崩しているのに増えていた!なんてことも起こり得ます。
どのような取り崩しの割合を採用するのかはポートフォリオやリスク許容度にもよりますが,低めに設定することで資産を長期的に活かすことができます。
定額と定率のどちらがよいかは各自のご判断ですね。
定率の方が一見よいですが,死ぬときに自分の資産を使い切れないから定額の方がよいという考え方もあるようです。
あるいは80歳までは定率,以降は定額で売却していくというように途中でシフトする考え方もありますね。
いろいろな考え方があって万人に最も良い方法はないので,自分なりの最善策を考えてみて下さい。
教育資金(マイホーム資金)のための出口戦略
子供の教育資金やマイホーム購入など,使う金額と時期が決まっている場合の取り崩し方法です。
この場合,もっとも避けなければならないのは売却寸前の暴落リスクです。
例えば子供が18歳で大学進学を控えており,そのための資金をコツコツと積み立ててきたとします。
いざ大学に入学金などの学費を支払おうとした時に世界的な暴落が起こり,せっかく大きなプラスを得ていたのに一気にマイナス転落。
支払期限があるので泣く泣く現金化することになり,足りない分は貯金を切り崩して…というパターンです。
これだけは何としても避けたいですね。
回避する手段として,目標金額を達成したら早めに売却して現金化するのがよいと考えます。
例えば子供が17歳ぐらいで目標である400万円に到達したとします。
その段階で全額,あるいは大部分を売却して利益確定しちゃいましょう。
こうすることで直前の暴落による資産の目減りを回避することができるのでおすすめです。
元々そのために投資をしてきたのですから,目標を達成した時点で売り抜くのは妥当です。
せっかくここまで資産を大きくしたんだからさらに保有し続けてもっと大きくしたい!と考えるのであれば,暴落リスクを覚悟して大部分を売却して一部を保有するのもよいと思います。
15歳ぐらいで早々に達成してしまったという場合はまだ資産が大きくなる期間があるので,利益確定する割合を50%ぐらいにして残りは運用を継続するのもいいかもしれません。
いずれにしても目標金額・現在の資産額・残りの運用期間を考慮して,リスクとリターンのバランスを上手くとりながら着地するようにしましょう。
セミリタイアのための出口戦略
セミリタイアとは,投資などで得られる不労所得で生活費の大部分をまかない,足りない分を週1,2日のアルバイトなどで補う戦略のことです。
サラリーマンの時のように週5,6日で毎日遅くまで働くのではなく,労働時間を最低限にして自分のための時間を最大限に増やせることで話題になっています。
海外ではFIRE (Financial Independence and Retire Early, ファイア, 経済的自由を得て早期退職)と呼ばれたりします。
日本よりも欧米の方が流行しています。
インデックス投資家がセミリタイアするための出口戦略としては,基本的な考え方は老後資産と同様で,貯めた資産を少しずつ取り崩すことになります。
ただし,以下の条件がプラスされます。
- 生活費の大部分のため毎月の受け取り額はなるべく変動させたくない
- 取り崩し期間は老後のケースよりも長い
もし毎月の受け取り額が変動するようならばその分単純労働で調整しなければなりません。
結局週5でアルバイトをやっています,となりかねないかもしれませんね。
またセミリタイアは定年退職を迎えるよりずっと前に達成することに意味があるので,必然的に取り崩し期間は長くなります。
つまりセミリタイアに必要なのは,それなりの大きさの資産額と安定的な受け取り額が見込めるポートフォリオと考えます。
これはむしろ出口戦略というよりは,どのような資産を購入するか,毎月どれぐらい入金できるかといった資産形成期の戦略の方がセミリタイアを考える上では大事ということになります。
セミリタイアを検討されている方はその点をご留意ください。
将来への不安に備えるための出口戦略
これはとりあえず定期預金や貯金だけは不安だからとりあえず投資を始めたという方向けです。
明確な使い道がないのであればとりあえず積立購入を継続しましょう。
そのまま定年退職まで使い道が見出せなかったら,老後資産として定額・定率の売却方法を検討すればよいと思います。
途中でライフイベントによって急に多くのお金が必要になったら,たとえ評価額がマイナスであっても躊躇なく売却しましょう。
お金は貯めるためにあるのではなく,究極的にはあなたの人生のためにあるのです。
使ってこそ意味があります。誰に遠慮することもなく使いましょう。
その際,急にではなく1年後に必要になる等の猶予があるようならば,教育資金のセクションで述べたように全てを売却するのでなく一部は運用を継続するとよいと思います。
このように,今は目的がなくても人生の過程でお金が必要になるシーンは起こり得ます。
それに向けてとりあえずインデックスファンドを積立購入しておくのは悪くない選択肢です。
ライフイベントが発生したときに臨機応変に対応すればよいかと思います。
まとめ:投資の目的が明確なら出口戦略も立てやすい
インデックス投資におけるそれぞれの投資の目的別に出口戦略を考えてみました。
投資は買うよりも売る方が難しいといわれるように,いつ・どうやって売るべきかは難しいですよね。
実際に僕もインデックスファンドを買い始めて3年になりますが,いまだに売却したことはありません。
人によって様々な投資の目的があります。
まだ投資の目的がなくてなんとなく始めたという方は,これを機に投資の目的を考えてみてもよいのではないでしょうか。
それが今後の投資方針や出口戦略を考えることにつながるでしょう。
あなたはなんのために投資をしていますか?あるいはするつもりですか?
この記事があなたの投資ライフに参考になったのなら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
インデックス投資をこれから始めたい!という方向けにも記事を書いていますので,あわせてどうぞ↓↓
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